
行政処分は“他人事”ではありません。ここに掲載されている違反の多くは、日常の管理不足から始まります。今月も、その一部をご紹介します。
この記事は一般貨物事業者に下った、2025年6月付の行政処分を紹介しています。
行政処分を受けると、たとえ文書警告(違反点数0点)であっても、管轄運輸局のウェブサイト上で実名付きで5年間公開されます。また、事業停止命令が発出された場合はこれとは別に、リアルタイムでプレスリリースされます。
さて今月は、全国で47件、うち許可取消し1件・事業停止命令3件 でした。
行政処分で公表されるのは、
です。
事業者点数と営業所点数というのは違反点数のことです。
行政処分は営業所ごとに付与されます。それとは別に、事業者(法人・個人)主体にも付与されます。事業者に違反点数が累計81点となると許可取消しになります。
行政処分は営業所に対して行われます。ある一般貨物事業者さんが一つの営業所しか構えていなかった場合は、事業者点数=営業所点数となります。
また、複数の営業所を構えていて、複数の営業所に違反点数が付いている場合は、事業者点数は合算した点数、営業所点数はその営業所の違反点数ということになります。
この公表された事例はコンプライアンス教材として、とても参考になります。
違反行為の概要=違反理由なので、「何を怠れば重大違反なのか」それを知れるだけでも意味があります。
ちなみに理由の多さと違反点数はあまり比例しません。というのも、初違反は文書警告で点数0点ということの方が多いのと、総合判断をされるからです。
さて、各地方運輸局ごとの公表です。
2025年6月:行政処分件数
地方運輸局 | 件数 | 特記事項 |
北海道運輸局 | 2件 | うち事業停止1件 |
東北運輸局 | 2件 | |
関東運輸局 | 14件 | うち許可取消し1件、事業停止1件 |
北陸信越運輸局 | 5件 | |
中部運輸局 | 4件 | |
近畿運輸局 | 13件 | |
中国運輸局 | 2件 | うち事業停止1件 |
四国運輸局 | 3件 | |
九州運輸局 | 1件 | |
沖縄総合事務局 運輸部 | 1件 |
大きく報道されたのでご存じの方も多いと存じます。あの大会社:日本郵便株式会社が一発で許可取消し処分とされたことです。違反点数81点以上で許可が取り消されます。ちなみに株式会社日本郵便に付された違反点数は197点でした。
日本郵便株式会社は26営業所に違反点数が付きました。その営業所すべてで「点呼記録の不実記載(ねつ造)」の指摘を受けています。この違反点数は6点なので、6点×26カ所=156点となります。もし、正直に「点呼記録の不記載」のままだったら、何とかなったのかもしれません。
詳細は関東運輸局のプレスリリースにあります。この件が闇深いのは、監査に入られた営業所がすべて、安全性優良事業所だったことです。
認定を受けるためには書類審査や巡回指導などで規定の点数以上を獲得しなければなりません。しかし、認定申請のノウハウができてしまえば一時的に書類を調えることで審査をやり過ごすこともできてしまいます。それは実態がだらしなくても、そうすることで認定を受けられることを立証もしてしまいました。これは巡回指導も同じです。
その甘いコンプライアンス遵守意識の結果が、全国の営業所を含めた一般貨物自動車運送事業の許可取消しとなってしまいました。
個別の事案を見れば今月も、30日の事業停止命令を受けた事業者さん、200日を超える車両停止処分を受けた事業者さんもいらっしゃいます。経営にどれほどのダメージが入るのか想像もできません。
また北海道運輸局では、大きめの違反点数がありました。土地柄なのか、大きい違反点数となることが多いのも特徴です。
監査で違反が指摘されたら改善報告をしなければなりません。このとき、報告で求められるのは「違反ゼロ」です。つまり、「正しい基準を知っていなければ何が違反なのか分からない」のです。そして、改善報告対応するだけでも社内のマンパワーを割かなくてはいけないので、早く決着をする必要があります。
正しい知識を運行管理者等が知っていれば自社で対応もできるでしょう。けれどそれが難しい場合は、外部の専門家に頼るしかありません。しかし、運送制度に詳しく、監査に対応できる専門家はとても少ないのです。
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当事務所では監査を受けた事業者さんをサポートした実績があります。頻繁な確認や、長期にわたるサポートが必要になるので対応地域は限られます。
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