
いまはインターネットで情報を得るのは思いのまま。もしも「軽貨物事業を始めたい!」と思ったら、どのような手続きを行えばよいか、という情報は簡単に知ることができるでしょう。
届出手続きさえ完了すれば、誰でも軽貨物事業者になることは可能です。では、事業として継続するための情報は調べましたか?
この記事は、軽貨物事業者になったあと、「どのようにすれば荷主に選ばれる「コンプライアンス遵守の事業者」になれるのか?」というお話しです。
「これから事業を始めよう!」という方が何も計画を立てないまま始めることはしないでしょう。
事前調査を行えば手続きの情報も手に入ります。
運輸局のウェブサイトを覗けば、「軽貨物を始める方へ」などというタイトルのページが見つかるでしょう。記載例もあったりします。唯一見つからない(かもしれない)のは、各自が自由に設定する「運賃・料金表」ぐらいなものでしょう。
次に軽自動車検査協会で「黒ナンバー」に変える手続きですが、これも「自動車登録」で検索をかければ、手続きの情報は見つかるでしょう。車庫証明が要らない代わりに「連絡書」が必要、ということだけ知っていれば、行けば何とかなるでしょう。
運輸局も検査協会も、窓口が混んでいなければ、担当職員に確認すると、丁寧に案内してもらえることが多いです。
ですので、この記事では手続きについて解説はしません。
毎月、国土交通省が主催するオンライン説明会では、荷主や委託事業者が実運送事業者に求めるものは
が不動のツートップです。
加えて、2024年4月から、軽貨物事業者の交通事故も増えていることもあって安全管理対策の強化を求められるようになりました。また、商慣習で「なあなあ」となっていた部分もはっきりさせていこう、という政策もあり、緑ナンバートラック事業者とあまり変わらない管理業務が課されるようになりました。
いまは「物流危機の時代」と言われていて、円滑に物を運べるよう、実運送事業者だけでなく「荷主」にも協力が求められています。そのため荷主にとっても「どの実運送事業者と取引するか」を吟味する時代になっています。
「安全に製品を届けてくれる」とはどういうことでしょうか? それには
など、さまざまな要素を含みます。いわゆる「サービス品質」が求められます。
例えば2人の配達員がいて、
あなたはどちらに頼みたいか? という話しです。
依頼者としては
使いたいのです。
「わたしはコンプライアンスを守ってます!」
そう言うのは簡単ですが、
と荷主から求められたとき、すぐに提出できる、そんな事業者が求められているのです。
仕事の依頼をリピートしたいのは、「長くお付き合いできる相手」です。
長くお付き合いできるとは、事業継続力=稼ぐ力+輸送能力の確保です。
貨物自動車運送業は原価率の高い、つまり経費が掛かる業種です。
一月あたり、15万円〜20万円の経費が掛かるとも言われています(業務内容による。関連記事はコチラ)。
このため宅配を例にとると、日に2万円は売り上げないと、かなり経営は厳しいことになるでしょう。
そのため
利益率の低い仕事を掴んでしまうかもしれません。
二次請けや三次請けではどうしても単価が下がります。
高単価の仕事を受けたければ元請けに成れるよう、営業も頑張らなければなりません。
元請けになるためには、荷主に期待される輸送能力=自前や外注先を確保することも課題になるでしょう。
協業パートナーを確保することも避けて通れません。
ゆくゆくは委託ドライバーを束ねる管理能力も身に着けていかなくてはならないでしょう。
なにより、個人事業主から法人へステップアップすることも計画に入れる必要があります。
軽貨物は法人もなれますが、圧倒的に個人事業主が多い業界です。おそらく「一人親方」ばかりでしょう。そのため何もかもを一人(伴侶や家族)でこなしていかなくてはなりません。
個人事業主はどうしても立場が弱くなりがちです。それを守ってくれるのが法律の知識です。
下請法やフリーランス保護法を知っておくと、優越的立場を濫用してくる取引先から身を守れるかもしれません。
契約書を読む知識があれば、不当な要求を退けられるかもしれません。
不当な扱いを受けたとき、駆け込み先の行政窓口を知っておくだけでも違うはずです。
ときどき「軽貨物は稼げる!」という話を聞いて、一攫千金を夢見て安易に参入する方がいると聞いています。
ところが「頑張っても手取りが30万円」という現実を前に、こんなはずじゃなかったと落胆することも多いようです。
SNSでは、手取り50万円を目指すためには週6~7で働かないと到達できないだろうとも言われています。
また、安易にフランチャイズ(管理費10%〜)や車両のリース契約(3万円〜)を結んでしまって、毎月の経費がキツイ・払えないという話も耳にします。
こういった情報はSNSの方がリアルな声を拾えるので、現役の方たちの意見を調べたほうが良いでしょう。
そもそも軽貨物事業は労働集約型の業種なので「身体が資本」です。**その働き方がずっと続く**ことを考えておかなくてはなりません。歳をとっていく前に、どうやって利益率の良い、負担の少ない軽貨物ビジネスを構築していくか、考えていかなくてはなりません。
実績があれば営業は楽になるかもしれません。でも実績が無いうちは実績で売り込むことは不可能です。
でも、コンプライアンス遵守事業者であることは初めからなることができます。
そのためには国土交通省などのウェブサイトを調べたりすることは避けられません。
自社の標準契約書を用意しておくことも必要でしょう。
ビジネスですから、これらの準備は欠かすことができません。
こうした課題を感じたときは、一人で抱え込まず、外部の専門家に相談するという選択肢もあります。
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